知っていきたいデジタルリテラシー【靴業界DX】

―「DX」研究会 学習会 ―


  • 《講師》中村 重徳 氏(なかむら・しげのり)

足と健康と靴


デジタルと共に「DX」研究会:12月学習会資料

体を支える足は生活と人生の土台、生命活動の基礎である。足の裏は全身の縮図、足に触れば全身のトラブルがわかるという専門家もいるほどだ。この大切な足を守るのが靴の存在。履く靴は自分の足のサイズにピッタリ合わなければならない。



足と靴の隙間が密着していれば歩行に安定感が出て、長時間歩いても疲れないという効果がある。靴は足を固定するギプスなのだ。タコ、ウオノメなどのトラブル原因は足に合わない靴にある。


一般的な長靴は作業等の際に中で足が滑る。農業、料理人、作業員の方々には浮き指や寝指、屈み指の人が多いのはその為である。人間の足は朝、昼、晩で大きさが変わる。起床直後に比べ、午後3時には体積が20%増す。靴の購入は夕方がお勧めだ。朝から快適に過ごすには紐靴が良いだろう。紐を締めることで靴の中で足が安定する。



成長が盛んな子供の身長は一日に1㎜伸びる。1か月で3㌢。足は半年で6㎜、1年後は1.2㌢。来年のためにと1㌢オーバーの靴を購入するのは無駄である。正しい靴の選び方を知っておくことは健康のためにも重要である。同時に、販売元である靴業界の事情も知っておきたい。業界DXで店舗も変わりつつあるからだ。


人口減少と高齢化の進展は、靴業界にも影響を与えずにいない。消費力の減退、加えて生産年齢人口の減少に繋がるため、将来的に靴需要の先細りさえ懸念されている。

 

2025年以降は更なる加速が進むと予想される。2040年以降は、高齢者人口がピークを迎える。こうした状況に直面する靴業界では人口減少に対応した新しいビジネスモデルの構築を模索中である。



最近ではデジタル化の進展もあり画像上で試着、足に合った靴をネットで購入可能とする店舗も見受けられるように。消費者はスマホを使い自分で足周囲を計測、データを企業に送り受け取った側はそれを元に顧客の足にピッタリ合った靴を提案、顧客は画像上で試着、素材や色彩なども売る側と買う側で調整しつつ最適な靴を製造できる。


デジタルと共に「DX」研究会:12月学習会資料

足には個人差があり、甲が薄い、厚い、右と左の足の大きさが違うなど千差万別。この課題を自宅に居ながらにして解決できることはメリットだ。DX時代の賜物といえるだろう。

 

当該ビジネスモデルが普及すれば、企業は足のサイズのデータを集めることも。これをもとに必要なサイズを多く作ることができるため、良質な靴を低価格で消費者に提供できるようになるメリットが期待される。



更には歩行動作のクセや力のかけ具合などの足の動きもデータ化され、スマートシューズやスマートインソールなどの開発も進んでいる。デジタル化の進展は、これまで自分の足に合う靴を店頭で探し出せなかった消費者に大きな朗報をもたらす筈だ。