デジタル子です。オーディオ全盛期の関連テレビCMは華やかでした。起用されたトップアイドルや女優さん、例えばアクシアの斉藤由貴さんや南野陽子さん、浅香唯さんなども名を連ねます。
もちろんTDKの山下達郎さんのRide on Timeも印象的です。なかでも秀逸だったのは薬師丸ひろ子さんのテクニクスCM。ヘッドフォンをして、トレーシー・ハイドにも似た少しもの憂げな表情で左頬に軽く手を当て、やや首をかしげたポスターは最強でした。
CMでは音楽を聴くうちに彼女の大きな瞳からポロリと涙がこぼれる「涙編」には当時大きな反響が。キャッチは「ハートの歌が聴こえるか」だった気がします。
「多感な10代少女の心の琴線に触れるような繊細な音を再現するテクニクス」といった印象で、なかなかあれだけのオーディオイメージと言いますか空気感を創れる女優さんも少ないのではないかな、などと思いました。
現代は音楽などの多様なサービスがより身近になり、機器のワイヤレス化もあってかイヤホン・ヘッドフォンをした人は街中でよく見かける光景です。しかし近年はそうした難聴が世界的に増加傾向にあるようでWHOはそのリスク(約11億人⁉)に警鐘を鳴らしています。
2021年のワールドリポートでは「2050年頃には世界の《4人に1人》が難聴」時代の到来が予測されているのです。もはやデジタル生活の必需品ですが、この手の難聴で最も懸念されるのが「一度なると二度とは回復しない」こと。特によく利用する世代は10~30代あたりと言われます。
しかしながら、コロナ禍でリモートが進み30代以降も利用機会が確実に増え、加えて最近では「リスキリング」などでの利用も考えると、今後は世代を問わず増加傾向にあると思われます。
この難聴の特徴は「長い時間をかけゆっくり進行し自覚した時にはすでに回復困難」なこと。なのでできることは「対策」のみとか。気をつけたいことは、WHOのリスク指針では《音量×使用時間=蓄積》で、目安は「80dbで1週間当たり40時間以上」でリスクと言われます。
「80db=地下鉄で快適に聴ける音量」がこれくらいで、それ以上だと例えば「86dbで1週間当たり10時間以上」と一気に許容時間が下がります。それだけ耳にかかる負担が大きいのだそうです。対策方法は2つ。《音量を上げすぎない》こと《1時間に1回は耳を休める》こと。
《音量制限》するために例えばiPhoneは聴覚保護のための「出力制限」が設定から行えるので、iPhoneの方は利用したいところです。またお馴染みの「ノイズキャンセリング機能」は周囲の雑音を抑制するため、自然と出力制限ができるのだそうです。
結論として「会話が聞き取れるくらいの音」がおすすめなのだとか。注意力や集中力にも直結する《聴力》は認知症リスクとの関係性があり、また誰しもいずれ加齢と共に消耗させていくもの。「人生100年時代」とも言われる昨今、なるべく長持ちするよう大切にしたいところです。