― 若宮さんから私たちへ ―
2022年 9月 9日(札幌)一社 北海道消費者協会 主催
デジタルクリエーター・ICTエバンジェリスト【若宮 正子 氏】
《基調講演》
誰ひとり取り残さない、ひとに優しいデジタル改革をめざして
「エストニアのシニアは、なぜ電子国家を受け入れたか?」若宮さんはエストニア元大統領の言葉と一冊の本をきっかけに北欧へ旅立ちます。現地シニアが電子政府を受け入れた理由とは?
ある時、若宮さんはMasterCard主催のフォーラムに参加。この催しは「ITリテラシーをもっと上げるには」というイベントで、エストニア元大統領が基調講演をされたそうです。
講演の中で「エストニアの電子政府化の成功のカギは銀行を口説いたこと。そのおかげである。」との話を聞き「これは何かあるのでは?」と関心を抱いてまもなく、若宮さんは一冊の本と出会ったと言います。
ブロックチェーン、AIで先を行くエストニアで見つけた つまらなくない未来
「僕らの未来をダントツに面白くする”ひみつ道具”はここにあった」(著)小島健志(監修)孫 泰蔵(2018)
閉塞感漂う日本の課題解決のヒントは、未来をダントツに先取りしているエストニアにあった!
本を読み「どうして、そういうことになったか」という背景が少しずつ分かると「もう、これは現地に行くしかない」と若宮さんはポケットマネーでエストニアへ。
現地には孫氏の施設があり、そのプロジェクトの支援によって若宮さんは「6つのこと」を行います。
エストニアには電子政府のショールームがあり、外国からの「エストニア詣で」があるそうで、どの国もデジタル先進国の「ノウハウを教わりに」もちろん日本からも。
若宮さんは「日本か…」と嫌な顔をされたと言います。日本人は他の海外の人とは違うらしく、ここを訪れる人たちは《問題意識》をしっかりと持ち「何がどういうふうに結びついているか?」など、自身の《テーマ》を持って来る方が多いのだとか。
一方で、どうも日本は視察団的な人が多いらしく「何を聞きに来たんですか?」と聞くと「はあ…」と言われ「何をお話してほしいですか?」と聞くと、また「はあ…」となる、と。
加えて「視察団の日程の中に組み込まれていて…」みたいな方もいるという話も。結論として「日本人はあまり的を絞れず、何を聞きに来たのか分からない人が多い」のが実状とのことでした。
若宮さんが「なぜ現地シニアは協力的なのか?」とショールームの担当官に聞くと「我が国の高齢者は電子政府に満足している」と返されたと言います。
さらに「操作手順が分からなくならないように。取扱説明書が、コールセンターが、なんてものを作るのは恥だ」と。
そして「官民の壁を取り払い、使う側の立場で「どんな画面が欲しいか?」などを考えて設計した」と聞いて「シニア自身は電子政府をどう見ているか?」を知りたいと思われたそうです。
現地シニア向けのアンケート結果は電子サービスを使う人の93%が「使ってよかった」と前向きなことが分かりました。
さらに「どんなサービスを利用か?」の回答が「e-Banking/銀行取引」だったことで、先の「銀行のお偉いさんを口説いて成功に導いた」という言葉の意味が分かったそうです。
《シニアが使う電子サービス》→ ①銀行取引、②納税、③電子署名、④選挙、⑤健康保険
銀行も助かるオンラインバンキングは二段階認証などが日本のシニアに難しいと思われる一方、エストニアでは口座振替が無くキャッシュレスの支払確認などが銀行利用の必要性を高めています。
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